【レポ2】シビック・イノベーションは、多様性の中で生まれるーグランド・オープンイベントで実現したかったこと(後編)

シビック・イノベーションは、多様性の中で生まれるーグランド・オープンイベントで実現したかったこと(後編)

2018年5月19日から約1ヶ月半のお試し利用期間を経て、ついに本格始動となった長野県塩尻市のシビック・イノベーション拠点「スナバ」。8月3日に行われたグランド・オープンでは、100名超の参加者が集まり、その記念すべき1日目を盛り上げました。

お試し間の中で、出会ったたくさんの人。関係者だけの形式ばったイベントではなく、運営チームとして「塩尻でこれから何が生まれていくのか、その手がかりが掴めるようなイベント」を作りたい。そんなイメージを持って、イベント企画に試行錯誤しました。

これからスナバは、本格オープンとなります。
8月3日に何が起きたのか、お伝えすると共に、これからのスナバについて少しでもみなさんと想いを共有できればと思います。

>> 想いを持ったテーマオーナーと多様な参加者が混ざり合う。注目のアンカンファレンスについては前編をチェック

第二部:シビック・アントレプレナーライトニングトーク

プレ・オープン以降、約1ヶ月半のお試し利用期間の中で、見えてきた多くの起業家や活動家の方々。第二部では、その方々が今後挑戦したり、さらに拡大していく事業やプロジェクトについて発表をする時間となりました。

1)農業の明るい未来は、携わる人の笑顔から。百一姓の城口さんが始動する新たな取り組み

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トップバッターは、スナバ3階に入居する「百一姓(https://hyakuissyou.jp/)」の城口さん。
小学生の頃、社会科の授業で目にした環境問題の現状に衝撃を受けたという城口さんは、次第に持続可能な農業について考えるようになったと言います。
「持続可能な農業のためには、まずは農家さん自身が食べていけることが重要だ。」ということで、農家の財務面を見る経営コンサルを行ってきました。しかし、たくさんの農家さんに会っていく中で、従業員の社長や経営方針への不信感、継手がいないこと、または親子関係の歪みなど、ネガティブな感情と対峙してきたという城口さん。そこで、百一姓が今後100年続く農家のために起案したのが、「全員経営」プログラム。
「会社のこと、農業経営のことを考え・動かすのは経営者一人ではなく、それに関わるチームメンバー全員がその意識を持つことが重要」という理念で作られた本プログラムでは、会計の戦略のみならず、経営理念やビジョンの構築を全員で考えていく設計になっています。今後は、このプログラムを全国に展開していく予定と語る城口さん。今後の展開がますます楽しみです。

2)子育てに携わる大人の問題解決は、まずは自分を肯定すること。活動のさらなる展開に挑む上間さんのこれから

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次に壇上に上がったのは、教育コンサルティングオフィス「虹のかけはし」、および、「子どものミカタプロジェクト」代表として活動する上間(うえま)さん。

これまで学校教育相談・子育て支援の現場等で、不登校や発達障がいなどの親子の支援をしてきました。
「子供を取り巻く問題が複雑化していくなかで、最も大事なのは親である自分自身が本来の自分を認めること」そう語る上間さんは、集まったオーディエンスにこう投げかけました。


「自分自身に点数をつけるとしたら、何点でしょうか?」

多くの場合、こう投げかけた時に100点と答える親は少ないといいます。なぜか?これまでの教育は、なるべく凹凸がなく個人を正方形に納めるようなものが多かったのに比べて、人間の本来の姿は、個々がそれぞれ異なりパズルのようであると言います。

自分のできないところに目を向けるのではなく、ありのままの自分を認めることで、本来自分が得意とする部分を引き出したり、自分が得意じゃないところができる人と一緒に補完しあったり。

上間さんは、それを加速するためのプロジェクトとして、現在以下の活動をしています。

  • 個人カウンセリング

  • 子どものミカタプロジェクト

  • オリジナルプログラム

活動について、もっと知りたいという方、上間さんのブログをぜひのぞいてみてください:
https://ameblo.jp/happy-mirai-create

3)あの人がいるから、お店を選ぶ。長野の飲食店向けの新しいメディア「イルカラナガノ」の小林さんがどうしてもやりたいこと

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「今日はぼくの夢の話をします。」
そう始めた小林さんは、塩尻市出身で東京の大学・企業に新卒で入社した後、起業を思い立ち塩尻に戻ってきました。
「僕がまだ東京の広告代理店で勤めているころは、飲み会の幹事をすることが多かったんです。」
昨今、飲み会の幹事に課された暗黙のルールは、「チェーン店ではなく個人店を選ぶこと。」しかし、小林さんが選んでいたのは、チェーン店だったそうです。なぜなら、そこには「名物店長のMさん」がいたから。「ここに行けば必ずMさんが盛り上げてくれる」という安心感。これは、他の都市・お店でも言えることなのではないか?そう思った小林さんは、一念発起、会社を辞めて地元長野県塩尻市に戻ってきます。

現在彼が始めようとしているのは「イルカラナガノ(http://irukara.main.jp/)」というサービス。お客さんのレーティングなどでお店を評価する他メディアとは異なり、そこに「◯◯さんがいるから」という人を理由にお店に人が集まる習慣を作りたいそう。やり方は、60秒のインタビュー動画と、メディアの運営。これによって、各地にお店の人のファンを増やしていきます。会場からは、早くもマネタイズについての質問や、他の業種への水平展開がありうるかなどの質問が飛びかいました。9月1日に公式サイトのローンチをしたばかりの小林さん。今後も目が離せません。

■Instagram
https://www.instagram.com/irukara.nagano/
■Facebook
https://www.facebook.com/irukara.nagano/

4)移住してから1週間。奈良井宿で住むということ、塩尻から働くということ。

©2018 彩pan [irodorizm] https://www.irodorizm.com

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シビック・アントレプレナートーク、最後は、引っ越してからなんと1週間あまりという山本さん。東京において、大小様々なプロジェクトの立ち上げや、戦略コンサルティングを行って来た山本さん。

「なぜ奈良井宿へ?」との問いに、長野の空き家バンクのサイトが見やすかったこと、それからたまたま来た奈良井宿で泊まった先の宿屋のおかみさんがフレンドリーだったことから、即移住が決定したと言う山本さん。発表中、東京の家から持ち込んだという約3000冊の本と長い本棚の写真も投影し、しばしば観光客が本屋と間違えて入ってきてしまうというエピソードも。山本さんは、奈良井宿に越してきて、新たに新法人も立ち上げたといいます。名前は、「デラシネ(https://drcn.jp/)」。フランス語で「根無し草」を表すという会社名の由来は、「会社名を考えていたら、ふと目の前に『デラシネの旗』という本があったから」だとか。

これまでには数々のプロジェクトを手がけてきた山本さんだが、塩尻においては、まずは友達作りから始めたいそう。ぜひ奈良井宿に立ち寄られた際は、山本さんのお宅を覗いてみてほしいです。


第三部:スペシャル懇親会

最後は、参加者全員でスペシャル懇親会タイム。乾杯の号令とともに、当日の参加者が一斉に杯をあげます。第一部では時間が足りずどうしても話を聞けなかった人のところへ行って話す方もいれば、第二部の発表をきいて共感し、質問を投げかけてみたいという方も。ワイン樽も入り、会場の熱量もどんどん上がっていきます。

©2018 彩pan [irodorizm]https://www.irodorizm.com

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今回、懇親会の料理を手がけてくださったのは、塩尻市内に店舗を構えるラ・メゾン・グルマンディーズ(https://www.facebook.com/la.maison.gourmandise/)の友森さん。新鮮な塩尻野菜をふんだんに使ったお料理は、市内でも人気です。

©2018 彩pan [irodorizm]https://www.irodorizm.com

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グランド・オープンのスイーツを担当していただいたのは、「菓子工房〜enn〜(http://kobo-enn.com/)」の小澤さん。子育ての実体験から、妊娠中・授乳中のお母さんでも不安なく食べられるように素材の一つ一つにこだわってつくられたスイーツ。それらを現在製造・宅配を行っています。シフォンケーキやベーグルなど、ぜひ一度ご賞味ください。

©2018 彩pan [irodorizm]https://www.irodorizm.com

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会場でひときわ目立っていたのは、受付からすぐ右手に設置された、写真撮影用ブース。制作したのは、塩尻市在住で、記念日やイベント時のバルーンアートのデザインや設置をするLogse(ラグス)(https://www.instagram.com/logce.11/)の柳澤さん。現在は塩尻市内のコワーキングスペースのミモザに拠点を置きつつ事業化を目指し動き出しています。

さいごにスナバの考えるコミュニティのあり方
〜互助システムでイノベーションの実現に再投資する〜

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イベントの終盤、スナバチームスタッフの塩尻市役所の古畑さんから、スナバのこれから、そしてメンバーシップの考え方についての発表がありました。


イノベーションの担い手は、多様な「市民」であると考えるスナバでは、そのメンバーシップの根本思想に「共同投資」という考え方を持っています。スナバのコミュニティ内に、お互いのリソースを持ち寄り、シビック・イノベーションを実現していきます。持ち寄るリソースは、金銭的な支払いの場合もあれば、ご自身のスキルやアセットの場合もあるでしょう。スナバは、それらの“投資”を、“新しい試み”や“新しい成長”、“新しい事業”などの実現に“再投資”や“還元”することによって、持続可能性と社会的効果を両立する事業や、新しいしくみを、すなわちシビック・イノベーションの実際的な成果を、形にしていきます。

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スナバもオープンしてから早くも2ヶ月が経ちました。
シビック・イノベーションはまだ形のない、目に見えないものかもしれません。しかし、自身の事業を少しでも前に進めたいと願う人や、既存の枠組みを見直し新たな枠組みを作り出そうと感じている人たちなどが少しずつコミュニティの価値を感じて、集まり始めています。

また、2018年12月からは新たに、地域に根ざして事業をしていく起業家に向けた「スナバ・ビジネスモデル・ブートキャンプ(パイロット版)」がいよいよ始動します。

スナバのコミュニティやブートキャンプに参加したいと考える方はぜひ一度スナバへ訪れてみてください。